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KIRIN 生茶 2016-

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生茶がずっと数字が落ちてなんとかしたいと言うことで依頼があった仕事なのですけれど、元々お茶という商品は原価がどんどんかかってしまうけれどあんまり売れない仕組みが基本的な課題でした。利益率を上げるためには、どのような作り方をすれば効率が良いのかをまず考えました。以前、静岡県でお茶の仕事をしたことがあって現場もよく見てきて少し知っていましたので、お茶の効率的というか理想的な摂取方法についてはちょうどアイデアがありました。お茶農家では煎じて飲むことはもちろん、煎じた後の茶葉まで食べる術を知っていました。茶葉を余すことなく活用していたんですね。その術の中でも「粉末」にして摂取するというのが一番効率が良い。粉末にするとお湯が接する断面積が増えるので、少ない量でも十分お湯に成分が溶けだすんです。それがまず基本的なアイデアでした。この生茶ではその先を狙いました。粉末のサイズが1〜10ミクロンになるようにしたかったんです。実際はここまで小さくすることができなかったのですが、ここまで微細粒にするとどうなるかというと、葉を構成する細胞すらも細かくカットできるサイズになるんです。ここまでいくと僕が新しい生茶に求めた本当の「うまみ」を実現できたんですけど。すでに今販売されている商品レベルでさえも、まるで昆布出汁のようなうまみがお茶から感じられるようになりました。お茶は昔からお湯で煎じて飲むことが当たり前でした。子供の頃からそうでしたから、何の疑いもなくお茶はそういうものだと「思い込んで」いました。お茶は煎じて飲むのが当たり前だし一番おいしいと。ただ、前々からそこには疑問はもっていました。生茶の開発を通してお茶の全てを感じ取ることができる理想的な摂取方法は「粉末」だと今は確信していますが、先入観というものが本質を邪魔してしまうことが往々にしてあるということを再確認させてもらった仕事です。